円(MADOKA)ができるまで
円(MADOKA)を世に送る出すのに欠かせない大事な要素の1つ。それが「蔵人体験に参加頂いた皆様の力」です。これまでに約150名の方々にご参加頂いた同体験ですが、MADOKAは直近で終了した第三期が記念すべき誕生期。ここでの作業の記録を、「円(MADOKA)ができるまで」として以下に公開します。登場人物は、そのほとんどが参加者の皆さんです。
私たちが惚れ込んだ日本酒蔵とその地域、そしてご縁があった人々をつなぎ、応援するために造るこのお酒は様々な円を醸します。どうか「和醸良酒」となりますように。
洗米
原料処理の最初の工程である「洗米」。MADOKAでは、麹用のお米は全量手洗いです。「半切り」という大きな木桶を使い、水道管が凍るような厳冬期であっても機械で洗うことはありません。秒単位で管理されるこの作業は、スピードと丁寧さが肝要。決めた秒数通りに終了させると同時に、腕全体で円を描き、お米を泳がすように。まるで生まれたてのわが子の沐浴のように大切に丁寧に、しかししっかりと洗いあげます。
蒸米
洗米後、予定していた水分含有量になったお米は一晩おいて翌日に蒸します。日本酒用のお米である「酒米(さかまい)」は、食用の「飯米(はんまい)」の様に炊くのではなく、蒸します。蒸しの作業も機械は使わず和釜で湯を沸かし、その上に乗せた木製の巨大な甑(こしき/蒸篭のような物)で蒸します。蒸しあがったお米は台の上で放冷させ、予定していた温度まで下がったら少量づつ麻布に入れて担ぎ、麹室(麹を作る部屋)に搬入します(麹米の場合)。
製麹
麹を作る作業を「製麹(せいぎく)」と言い、この作業もほぼ木製の器具を使用します。麹室という専用の密閉された部屋で行うこの作業は約48時間かけて行い、麹番の蔵人は1-2時間の短時間睡眠で過ごすことになります。製麹も手作業で行いますが、80~140kg位のお米との格闘は並大抵ではありません。高温多湿の環境下で行う重労働ですが、手のひらを使いお米をばらけさせる作業は力を入れすぎず丁寧に、ここでも愛情をもってお米と向かい合います。
酒母
酒の母と書いて「酒母(しゅぼ)」。別名「酛(もと)」。その名の通り、お酒の母・素・原型となる液体です。酒母は一般的に麹、蒸米、水、乳酸、酵母をタンクの中に入れ、発酵させ完成させますが、MADOKAの酒母は「乳酸、酵母無添加」の自然醸造で、更に水ではなく「お湯」で仕込みます。この独特の仕込み方が木戸泉酒造独自の方法で、私たちが惚れた「えも言われぬ酸」を作り出します。尚酒母づくりにおいてもやはり道具は木製で、「櫂(かい)」という棒状の道具を使いタンク内を撹拌します。
醪
「醪(もろみ)」は巨大なタンクで作る、お酒の完成形の一歩手前の状態です。タンクに酒母を入れ、更に「麹・蒸米・水」を入れ、徐々に量を増やしていきます。約2-3週間、特に温度管理をしっかりと行いながら狙っている酒質に近づけていきます。その様子は「熱はないか?」「寒くはないか?」とわが子を気にする親のごとく。ここでもしっかりと愛情を注ぎます。醪づくりにおいても酒母同様、木製の「櫂(かい)」を使いタンク内を撹拌します。
瓶詰まで
ここからは杜氏と蔵人の皆さんのお仕事になります。醪が設計通りの数値になっているかどうか、醪タンクごとに少量を採取して定期的に確認。発酵が終盤となり、予定の数値に収まったタイミングでおかゆ状になっていた醪を圧搾機で濾します。その後は火入れ、瓶詰などを経て、いよいよMADOKAの出荷となります。
※上記内容は実際の酒造りのごく一部のご紹介です。実際には更に多数の作業があり、大変な手間暇をかけています。蔵人体験の参加者は、皆さん例外なく全身筋肉痛になりますが、不思議なことに皆さん晴れ晴れとした顔でお帰りになります。
蔵人体験第三期@木戸泉酒造
参加者の皆様
「酒は造る人の心を映す」。木戸泉の蔵元杜氏、荘司さんがおっしゃった一言ですが、まさにその通りだと思います。みなさんのおかげで最高に素晴らしいお酒ができました!ご参加ありがとうございました!今後とも皆さんの力お借りできたら大変うれしく思います。